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日本政府が2020年10月に、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」という目標を掲げ、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

地球環境問題などの世界的な課題から、取り組みが重要視されているカーボンニュートラルですが、すでに様々な国や業界での取り組みが始まっています。

しかし、カーボンニュートラルという言葉や取り組みの重要性は知っていても、具体的な取り組みには至っていないという企業も多くあります。

この記事では、カーボンニュートラルの基本的な情報から、企業が取り組むメリット、これまでの取り組み事例について紹介します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量をゼロにすることを指します。

カーボンニュートラルでは、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量と、植物などによる二酸化酸素の吸収量を差し引いて全体として排出量をゼロにすることを目標としています。温室効果ガス排出量の約9割は二酸化炭素となっており、二酸化炭素の排出量を抑えることがカーボンニュートラルの実現につながります。

しかし、温室効果ガスの排出量を完全にゼロにすることは難しいため、排出量と同等の吸収量、除去量を考慮することで、全体としてゼロ(ニュートラル)にするという意味になります。

カーボンニュートラルが注目される背景

カーボンニュートラルが注目されている背景には、地球温暖化の進行が挙げられます。

地球規模の課題となっている気候変動問題の解決に向けて2015年にパリ協定が採択されました。パリ協定とは、2020年以降の地球温暖化対策に関する国際的な枠組みです。その中で「2050年カーボンニュートラル」という目標が世界的に掲げられており、120以上の国や地域が取り組みを進めています

カーボンニュートラルがパリ協定の中で目標として掲げられた背景には、世界的な地球温暖化の進行が挙げられます。世界の平均気温は工業化以前の1850〜1900年頃と比べて、2020年時点で約1.1度上昇しているといわれています。このままの状態が続くと、早ければ2030年には1.5度上昇し、2050年には約4度の上昇になると予測されています。

この世界的な気温の上昇に伴い、様々な災害が発生しています。気候変動により、今後も豪雨や猛暑が続き、農業や水資源、自然生態、自然災害などへの被害が予測されます。

私たちの世代だけではなく、将来世代に渡って安心して暮らせる持続可能な社会を実現するためにも、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現が求められています。

また、パリ協定にはいくつかのルールが定められており、5年ごとに世界全体として、1.5度の気温上昇に抑えるという目標に沿った削減ができているか等についてレビューすることや、すべての国が排出削減の取り組みについて実施状況を国連に報告し、検証を受けることなどが定められています。

国全体として、世界全体として達成しなければならない目標となっているため、企業による積極的な取り組みが重要視されています。

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット

カーボンニュートラルが注目されている背景や取り組みの重要性を紹介してきましたが、企業として取り組むメリットも様々あります。

ここでは、企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットについて紹介します。

  • 企業イメージの向上
  • ESG投資の対象になる
  • コスト削減につながる

メリット1.企業イメージの向上

カーボンニュートラルに取り組むことで、企業のイメージ向上につながることが期待できます。

カーボンニュートラルは世界的な気候変動に対する取り組みのため、企業としての社会的責任を果たし、環境問題に対する意識が高い企業であることをアピールすることができます。対外的にアピールすることができれば、ステークホルダーや消費者からの信頼の獲得につながるでしょう。

また、社会問題に取り組むことで、環境問題に取り組んでいる企業としてのブランディングもできるため、採用面での幅広い人材の獲得も期待できます。

メリット2.ESG投資の対象になる

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の英語の頭文字を合わせたものです。

地球温暖化や水不足などの環境問題や人権問題・経済成長などの社会課題など、私たちが直面している問題は多数あります。こういった現状を踏まえ、環境に対する配慮や社会課題の解決、法令を遵守した企業経営などが重要視されており、企業が長期的に成長していくためにもこれらのESGの観点を取り入れることが必要だとされています。

また、これに関連してESG投資が注目を集めています。国連が2006年に提唱した「責任投資原則」によってESGに配慮した企業に対して投資を行うことが重視されており、ESG投資額は年々増加しています。

気候変動問題という課題を解決するための、環境に配慮した取り組みであるカーボンニュートラルを行うことで、投資家や株主からのESG投資を受けることができ、資金調達につながる可能性があります。

メリット3.コスト削減につながる

カーボンニュートラルに取り組むにあたって、エネルギー源を再生可能エネルギーに変えたり、省エネに取り組んだりすることでコスト削減が期待できます。

太陽光などの再生可能エネルギーを利用するためには初期投資として設備の準備が必要になり、短期的にはある程度のコストがかかりますが、長期的にみると再生可能エネルギーを利用することでエネルギー使用量が減るためコスト削減につながるでしょう。

省エネに関しても、まずは自社ビルでの節電や業務で使用する電気機器の見直しなどから始めることでコスト削減につながります。

カーボンニュートラルに取り組む日本企業5選

カーボンニュートラルに実際に取り組んでいる企業の事例として、以下を紹介します。

  • 三菱重工エンジニアリング株式会社
  • 阪急電鉄株式会社
  • 東急不動産
  • セコム株式会社
  • 三井不動産株式会社

三菱重工エンジニアリング株式会社

三菱重工エンジニアリング株式会社ではCCUC(Carbon dioxide Capture, Utillization and Storage)に取り組んでいます。

CCUCとは、二酸化炭素回収、転換利用、貯留の略称で、カーボンニュートラルの実現に重要な要素と考えられています。

CCUSバリューチェーンの構築のため、最新のCO2回収技術や装置など、CCUSに関連した製品ラインアップを拡充させると共に、回収したCO2の輸送、転換利用、貯留に至るシステム等の開発も含め幅広いソリューションを提供することで、カーボンニュートラル社会への実現に貢献しています。

参考:三菱重工エンジニアリング株式会社 | 脱炭素への取り組み

阪急電鉄株式会社

阪急電鉄株式会社では2010年に摂津市駅を開業し、駅に起因するCO2排出量を実質的にゼロにするという日本初の「カーボン・ニュートラル・ステーション」への取り組みを同駅で進めています。

具体的には、太陽光発電により駅内の空調・照明・駅務機器などに電力を供給したり、ホーム上屋にたまる雨水を再利用しトイレの排水や緑地散水に利用する取り組みを行っています。

また、​​壁面緑化等の緑化施策を推進しており、これにより二酸化炭素の吸収量を増やすことを目標としています。

参考:摂津市駅|カーボン・ニュートラル・ステーション|阪急電鉄

東急不動産

東急不動産では、カーボンニュートラルへの取り組みとして「2025年までに事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにする」という目標を掲げています。

この目標を達成するために全国50ヵ所以上で太陽光や風力などの発電事業に取り組んでおり、現在では全事業所で使用している電力の全てを再生可能エネルギー発電からまかなっています

参考:東急不動産の再生可能エネルギー戦略 2025年にRE100達成をめざし、環境先進企業へ

セコム株式会社

セコム株式会社では、温室効果ガス排出量の約70%を占めるオフィスの電力使用量を削減するために、最適な省エネ機器導入と全社的な節電・省エネ活動に取り組んでいます。これに合わせて、再生可能エネルギーを使用したグリーン電力の調達や自社施設での太陽光発電設備の設置などを行っています。

また、外回りの多いセコム株式会社では多くの自動車を所有していますが、2045年までには走行時に温室効果ガスを排出しない電気自動車・燃料電池車などにすべて切替を行うことを目標に取り組みを進めています。

参考:地球温暖化防止|脱炭素・循環型社会|サステナビリティ重要課題|セキュリティのセコム株式会社

三井不動産株式会社

三井不動産ではカーボンニュートラル実現に向け、様々な取り組みの行動計画を示しています。

新築物件では、ZEB/ZEH水準の環境性能を標準化し、既存物件においては、リニューアルによって省エネ性能の向上や再生可能エネルギーの創出に取り組んでいます。

また、物件共用部・自社利用部の電力を2030年までにグリーン化することを目標としています。さらには、建築時のCO₂排出量削減に向けた取り組みとして、CO₂排出量を正確に把握するツールを整備し、削減計画書の提出を義務化することでサプライチェーン全体でのCO₂排出量削減に取り組んでいます

その他にも、森林活用の一環として高層木造ビルや木造住宅などの建設に保有林を積極的に活用したり、建築資材を自給自足し森林資源と地域経済を好循環させることで持続可能な社会を実現させる取り組みを進めています。

参考:脱炭素社会実現への取り組み|ESG/サステナビリティ|三井不動産

まとめ:カーボンニュートラルに取り組むならレスターマッチングサービスがおすすめ

カーボンニュートラルへの取り組みは、地球規模の課題である気候変動問題、地球温暖化問題を解決するために非常に重要です。企業による積極的な推進が求められており、SDGsなどとも合わせて注目される取り組みの一つになっています。

カーボンニュートラルの実現に向けて、自社でも何か取り組みを始めたいが、何をすれば良いのかわからない、取り組みたい分野は決まっているがどういう風に進めたら良いのかわからないという場合には、カーボンニュートラルに関する取り組みの支援実績のある会社やコンサル会社を活用するのがおすすめです。

専門的な知識を活かしたアドバイスを受けることができるため、やるべきことが明確になり成果を出しやすくなるでしょう。

支援会社やコンサルを活用したいけれど、どの企業が良いのかわからないという場合には、レスターマッチングサービスがおすすめです。

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