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近年、共創や協創が企業や自治体、大学などで注目されています。様々なサービスや物に溢れる現代では、自社のみで優位性や独自性を維持することが難しくなっています。そのため、時代の変化に伴い、日に日に変化するビジネス環境についていきながら、新たな価値の提供を試みる企業が増えています。

「共創」や「協創」は、どちらの言葉も異業種間で連携・協力することにより新しい価値を生み出すことを指していますが、両者に明確な違いはあるのでしょうか。

この記事では「共創」や「協創」の違いや、「共創」・「協創」の実施により期待される効果、「共創」・「協創」の事例について紹介します。

「共創」と「協創」の違いは?

「共創」と「協創」はどちらも同じ発音であり、同じニュアンスで使用されているイメージある言葉ですが、意味の違いはあるのでしょうか。

それぞれの言葉の意味について以下で確認しましょう。

共創とは

「共創」とは、多様な立場の人たちと対話しながら、新しい価値を「共」に「創」り上げていくことを意味します。

社内外の人や消費者とともにアイディアやリソースを出し合いながら新製品・サービスを開発・発売したり改善していくといった意味になります。

協創とは

協創という単語では国語辞典などに意味が記載されていませんが、「協創 意味」で検索すると「自分の強みを磨き上げた者同士が、新しい価値を創造するという共通の目的を目指す連携のこと」と解説した記事がヒットします。

また、オリエンタルグループの舞浜コーポレーションの多田社長は「共創」と「協創」について、「共創は共感してつくる」、「協創は協力してつくる」という意味が込められていると述べています。

参考:「共感して創る」「協力して創る」この「共創」「協創」によりゴールが一つになる | 障がい者雇用の”今”を考える【サーナ・アーカイブス】

以上から、使用漢字の違いによる若干のニュアンスの違いはありますが、他社と連携・協力して新たな価値を生み出すという部分で大きな違いはないといえるでしょう。

共創 / 協創が求められる背景

共創が求められる背景には複数の理由があります。多くのサービスや商品が提供されている現在では、あらゆる市場が飽和しています。サービスの飽和により、一度確立した自社の市場における競争優位性が失われてることも少なくありません。

これまでと同じように自社のみで商品やサービスの開発を行っても同じような価値提供になる可能性が高く、多様化する消費者のニーズに応え新たな価値を提供するには、新しい視点や知識を活かしたアイディアが必要になります。

異なるバックグラウンドを持つ他社と協業し、飽和状態の市場に新たな価値を生み出すことで、失われた競争優位性を取り戻すことが共創の目的となります。

共創 / 協創により期待される効果

共創 / 協創により得られる効果として、大きく以下の5つが挙げられます。

  • 新規事業の創出
  • 新たな客層やファンの獲得
  • 足りないリソースの補完
  • シナジー効果の獲得
  • ノウハウの獲得

新規事業の創出

共創により、自社の事業視点や事業領域では発見できなかった市場ニーズや視点を得ることができ、新規事業の創出につながる可能性があります

異なる視点や専門知識を持つ企業を連携することにより、市場において競争力のある新製品やサービスを開発するチャンスが高まります。

新たな客層やファンの獲得

共創により、自社とは異なる顧客層や事業領域を持つ企業と連携することで、互いの顧客層に広くアプローチすることができるようになります

また、異なる視点を持つ企業との連携により、幅広い視点から市場の状況やニーズを拾うことができるようになり、新たなアプローチも可能になります。顧客のニーズを満たすことで新たなファンの獲得につながるでしょう。

足りないリソースの補完

共創により、お互いが自社の強みを活かすことで、自社だけでは補うことのできないリソースを提供し合うことができます。これにより、資金や技術、人材などの足りないリソースを補うことができます。

シナジー効果の獲得

共創を行い、パートナー企業と連携することにより、様々なシナジー効果が得られます。例えば、複数の企業が一括で仕入れを行うことによりコスト削減につながる生産シナジーや、連携先の企業が持つ販売網、流通経路を活かして販売力を高める販売シナジーなどが挙げられます。

ノウハウの獲得

共創により、知識やノウハウの共有が促進されます。他社と共同で事業を行うことにより、自社にはないノウハウを学ぶきっかけになり、参加メンバーの新しいスキルの獲得や学習につながります。参加したことにより得られた学びは、今後のプロジェクトなどに活かすことができ、社内での共有も促進されます。

共創 / 協創のプロジェクト事例

共創/協創の具体的な事例を5つ紹介します。

  • ノジマ × GlobalLogic Japan
  • 乃村工藝社×AGC
  • 日立社会情報サービス×無印良品グランフロント大阪
  • 株式会社ゼンリン×環境創造局下水道事業調整課
  • ソニー×京セラ×ライオン

ノジマ × GlobalLogic Japan

家電量販店のノジマのデジタル家電専門店と日立グループのGlobalLogic Japanとの協創による、新たな顧客体験の創造に向けたDXプロジェクトの事例です。

ノジマの店舗での顧客体験向上のための施策を立案するために、GlobalLogic Japanが店舗スタッフへのヒアリングを行い課題を抽出。また、各部門の責任者とアイデア検討のためのワークショップを複数回実施し、その結果を元に、GL Japanが計20ほどの施策アイデアをノジマに提案。最終的に5案の店舗内デジタル施策案に集約し、2023年1月からPoCがスタートしています。

参考:【ノジマ × GlobalLogic Japan 協創事例】お客さまに満足と感動とわくわくを届ける新たな顧客体験価値創造に向けた協創プロジェクト|Lumada:日立

乃村工藝社×AGC

電子・化学品・セラミックスなどの事業を展開する素材メーカーのAGCと空間創造における、調査・企画・コンサルティングなどを手掛ける乃村工藝社は、店舗やオフィスなどの内装市場におけるガラス需要創造を目的として協業を開始しました。

AGCが持つマテリアルの事業と、乃村工藝社が持つ空間デザインの技術を提供し合い、協創することで、素材から考える空間体験や空間表現の拡張を試みました。調光ガラス、音響ガラス、熱線反射ガラス・ディスプレイなど、デジタル制御を加えたマテリアルを空間的に配置することでこれまでにない空間体験を作り出す取り組みを進めています。

参考:事例1:乃村工藝社×AGC | 技術開発とイノベーション | AGC

日立社会情報サービス×無印良品グランフロント大阪

2022年11月から「無印良品 グランフロント大阪」では、株式会社日立社会情報サービスのAI技術で予測したインフルエンザ流行予報の情報を提供する「感染症予報サービス」を投影したモニターを当店舗内に設置しました。

感染症予報情報を表示しているモニターの横にスープや湯たんぽなど、対策に関連する商品を陳列することにより、暮らしに役立つ商品の提案に活かしています。

この取り組みにより、対象商品の売り上げがおよそ1.2倍程度に向上しました。

参考:無印良品 グランフロント大阪様 : 株式会社日立社会情報サービス

株式会社ゼンリン×環境創造局下水道事業調整課

株式会社ゼンリンと横浜市の環境創造局下水道事業調整課との取り組み事例です。横浜市は、全国の政令指定都市で下水道を最も多く保有しているため、被災時に市民の生活への影響を最小限に抑えるためにも、いかに早く復旧できるかが課題でした。

そこで、株式会社ゼンリンと横浜市は「災害時における協力関係を構築するための協定」を締結し、ゼンリンが持つ地図作成のノウハウと、横浜市の下水道事業が持つ災害時の支援経験を活かし、大規模災害発生時に素早く下水道管の被害情報を調査・把握できるシステムを試作開発しました。

実際にシステムを使用した訓練では、調査計画の立案から調査の実施、結果の取りまとめまでにかかる時間が約半分に減少したという成果が得られています。

参考:ゼンリン事例 横浜市

ソニー×京セラ×ライオン

京セラ株式会社で一般販売が始まった子ども用仕上げ磨き用ハブラシ『Possi』はライオンとソニーとの3社の協業により生まれました。

Possiは歯磨きを嫌がる子供たちが楽しく歯磨きできるように開発された商品になります。京セラのエンジニアの発想のもと、ソニーが事業化のノウハウを提供しました。

競争プロジェクトを進めいくうちに、歯ブラシの開発には歯ブラシの技術やノウハウが必要だということがわかり、歯ブラシの開発・販売を行うライオン株式会社に事業計画をプレゼンテーションすることで共創パートナーとして参画してもらうことに成功しました。

クラウドファンディングにも成功し、2020年12月に事業化に成功しています。

参考:【連載】「ソニー・京セラ・ライオン」大企業の三社共創、9か月でアイデアが形に | 【Sony Startup Acceleration Program】スタートアップと新規事業の育成を支援するプログラム

共創 / 協創の相手をお探しならレスターマッチングサービスがおすすめ

共創や協創は、企業が様々なステークホルダーと協業し、新しい視点やアイディア、技術を取り入れることにより新たなイノベーションを創出する際に有効な手段です。

自社内のみでの商品・サービス開発やアイディア出しでは、これまでの社内の慣習や取り組みの中で得られた知見や技術からしかアイディアが生まれず、社内にあるリソース内でしか商品の開発ができない可能性があります。

共創/協創により外部のアイディアやリソースを取り入れることで、これまでになかった製品やサービスを生み出すことができ、消費者のニーズに応えることができるようになります。また、企業としての市場内での競争優位性の獲得や新たな領域での顧客層の獲得にもつながります。

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