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インターネットの普及により、ものが多く移動するようになった現代社会では、「流通」や「物流」は必須の機能となっていますが、両者の違いについて明確に認識していない人が多いのも事実です。

流通や物流はどちらもものの移動の流れを表しているというイメージを持つ言葉ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。両者には所有権の違いや定義の違い、プロセスの違いなど様々な違いがあります。

この記事では、流通・物流の概要とそれぞれの違いについて詳しく紹介します。

流通と物流の違い

流通と物流の違いについて、以下の4点を紹介します。

  • 所有権の違い
  • 定義の違い
  • 機能の違い
  • 役割の違い

所有権の違い

流通は、商品が生産者から消費者へと移動する過程で、物の所有権が変わります。例えば、メーカーから卸売業者が商品を仕入れた場合、物の所有権はメーカーから卸売業者に移ります。

また、小売店から消費者が商品を購入すれば、商品の所有権は消費者になります。このように、流通では生産者から消費者までの商品の流れの中で発生した売買や取引に合わせて物の所有権が移ります。


一方で、物流は物の移動に焦点を当てているため、所有権が動きません。例えば、メーカーから卸売業者が商品を仕入れるにあたって、メーカーから卸売業者の元へと商品が移動する際、運送業者が物を運んだり、一時的に倉庫で保管したりしますが、その際に運送業者や物流業者に所有権が移るということはありません。

定義の違い

流通は、商品やサービスが生産者から消費者へ至るまでの一連のプロセスを指します。トラックや船などによる輸送や、物流センター・倉庫での保管・管理、商品を販売する小売などの中間業者が生産者と消費者の間に入ることで、市場において商品が利用可能になります。

一方で物流の定義は、商品が地理的に移動する働きのことを指します。ものが移動するプロセスのことを指し、メーカーから倉庫、倉庫から小売店といったものの移動に焦点を当てています。

機能の違い

流通は、主に商流と物流の2つの機能から成り立っています。商品の販売や買い付けなどの契約や売買を行う機能を持つ商流と、在庫管理、運送など商品の移動に関する機能を持つ物流の2つの機能が備わっています。

物流は流通の中の一部で、輸送・保管・在庫管理・配送などの機能を持ちます。供給チェーンにおいてスムーズな流れを確保することで、迅速な商品の移動に貢献しています。

役割の違い

流通の役割は、生産者と消費者の間にある3つのギャップを埋めることです。


3つの隔たりとは「人のギャップ」、「時間のギャップ」、「空間のギャップ」です。商品が生産者から消費者の元に届くまでの間には、物の所有権の移動や場所の移動、輸送時期の調整などが必要になります。これらのギャップを埋めるための1つの機能として物流があり、商品の輸送や保管により効率的にギャップを埋める手助けをします。

流通とは

流通とは、生産者から消費者まで物の所有権が変わる流れを意味します。流通には生産者と消費者の間にある「人・時間・空間」の3つのギャップを埋めるという役割があります。

人とのギャップとは、物の所有権の隔たりを指します。流通では、生産者から卸売業者、卸売業者から小売店、小売店から消費者へと物が移動する際に発生する所有権のギャップを埋めるという役割があります。

また、生産者と消費者は需要と供給の関係で成り立っていますが、需要と供給の間に発生する時間的ギャップを埋める役割も担っています。時期や季節によってニーズが変化する商品については、倉庫での保管により出荷量を調整することで適切な量を市場に供給し、需要が高まる時期には出荷量を増やすなどして、生産者と消費者に発生する時間的ギャップを埋めます。

空間的ギャップとは、物の場所的な隔たりを意味しており、生産者の工場や生産場所、卸売業者や小売店の場所、消費者の場所が地理的に離れている際に、流通によってこれらのギャップを埋めることができます。

このように流通は生産者と消費者のギャップを埋めるための機能を持っており、「商流」や「金流」、「情報流」、「物流」など様々なものの流れから成り立っています。それぞれについて以下で紹介します。

商流

商流とは、所有権が生産者から消費者に移る流れのことを指します。「取引流通」や「商的流通」と呼ばれ、販売者が生産元から商品を仕入れ、消費者に商品を売るとした場合、消費者が商品を購入した時点で、商品の所有権は消費者に移ります。

金流

金流とは、生産元から消費者に商品が渡った際に発生するお金の流れを指します。商流や物流は生産者から消費者へと流れますが、金流は消費者から生産者へと流れます。消費者が通販で商品を購入した場合、代金が通販会社に納められ、後日生産者へと還元されます。

情報流

情報流とは、生産者から消費者に商品が移る際に提供される情報のことです。生産者が生産地や原材料などの情報を提供することで、主に商品の安全性や信頼性を認識してもらい消費者の購入を促進するためのアピールポイントとして使われます。

また、決済会社が消費者の与信チェックを行い、与信情報を生産者へ流すといった場合もあります。情報流は生産者と消費者の双方向に発生する流れであることが特徴です。

物流

物流は、生産者から消費者への物の流れを指します。流通の中で商品が移動する際、工場から倉庫、倉庫から小売店などへ移動することを物流と呼びます。詳しくは以下で解説します。

物流とは

物流は流通を構成する要素の一つで、流通の中には「商流」「金流」「情報流」「物流」などがあります。文字通り物の流れ=フローを指します。流通は商流や物流を合わせたもので、所有権と商品の場所が両方移動して初めて流通したことになりますが、物流は単に、商品の所在が地理的に移動しただけのことを指すという違いがあります。

物流の領域には以下の5つの代表的な領域があります。

調達物流

調達物流とは、原材料や部品などを調達する際に発生するものの移動のことです。国内での調達だけではなく海外から原材料を調達する際の物流も含まれます。

大量生産の時代から多品種少量生産へと生産体制が変化していくにあたり、必要なものを必要なときに必要な分だけ調達することで生産コストを下げるためにも、多くの企業が調達物流を実践しています。

生産物流

生産物流は、調達した部品や資材の管理や、工場内での製品管理、包装、発送までの流れを指します。前述の調達物流や後述の販売物流の間にあるため、それぞれを円滑に繋ぎ連携を図ることで物流を効率的に進める役割を果たします。主に倉庫内での物流を担うイメージです。

販売物流

販売物流は、倉庫から販売者や消費者に商品を届ける物流工程です。一般的に物流とは販売物流を指すことが多いです。倉庫から卸売業者や小売店への配送はもちろんのこと、インターネットの普及によりオンラインショッピングの利用が増加したことから個人宅への配送も増加しています。

回収物流

回収物流は、消費者のもとに届き使用された製品の包装・容器を回収する流れのことを指します

「調達物流」「生産物流」「販売物流」は生産から消費の流れを指すことから人間の循環機能に合わせて「動脈物流」と呼ばれ、反対に消費から生産に戻るために、消費者から容器や包装などを回収することを「静脈物流」と言います。

物流が循環する円形構造の形で捉えられています。

リサイクル物流

リサイクル物流は、回収物流の中でもリサイクル可能な製品や資源を消費者から回収する物流のことを指します。代表的なものとしてペットボトルや空き缶、古紙回収などが挙げられます。

環境問題などに配慮する重要性が高まっていることから、リサイクル物流の重要度が増しています。

物流会社の役割

流通と物流の違いで説明したように、物流は物の流れを指すものであり、商品の輸送や倉庫での管理を行なっています。では、物流において物流会社はどんな役割を果たしているのでしょうか。以下で物流会社の役割について説明します。

物流会社が持つ機能

生産から消費までにある時間的・空間的隔たりを埋めるために、物流会社は商品の保管から梱包、運送まで幅広く対応します。物の量や時間、場所を調整し効率よく無駄なく商品を届ける仕組みを作ることで、在庫切れや過剰在庫を防ぎ、スピーディーに消費者の元へ商品を届けることができます。

そのための仕組みとして、以下の6大機能が挙げられます。

・保管

物流センターや配送センターで商品や原料を保管する。生産者と消費者の時間的隔たりを調整して最良のタイミングで配送するための役割を果たす。

・加工

物流センターや倉庫に入ってきた商品を一旦バラバラにし、ラベル貼りや箱詰めなどの加工を施す。

・荷役

物流センターや倉庫で荷物の運搬、移動をする作業。出荷指示に応じて必要な商品をピッキングしたり、仕分けしたりする。

・梱包

ピッキングした商品を段ボールなどに入れ包装する。物流の過程で生じる外部からのダメージから商品を守るための工程。

・輸送・配送

梱包した商品をトラックや船で運ぶ。生産者から消費者に商品を届ける機能で、「輸送」は長距離の2地点間の移動を指す。「配送」は複数箇所にものを届ける機能を指す。

・情報処理

受注から出荷、在庫や配送状況の情報を一元管理するためのシステム。大量の商品を扱う物流では、それぞれの商品が今どの工程でどこにあるのかを把握しておくことが重要なため、情報管理が欠かせない。

運送会社との違い

物流会社と似た言葉として「運送会社」がありますが、物流会社とは何が違うのでしょうか。

運送会社は、文字通り運送だけを行う企業のことです。物流会社に比べて対応範囲が狭く、物流会社が持つ6つの機能の輸送・配送部分を担う企業であるという違いがあります。

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流通・物流は近年のインターネットの発達により個人宅への配送が増えたことから、さらに生活における重要度が増しています。

流通と物流の違いとして、流通は生産者から消費者へのものの流れの中で所有権が変わることを指し、流通の中に商流や物流があります。

それぞれの違いを理解することで、自社に必要な工程や対応方法が見えてくるでしょう。

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