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物流業界は今多くの課題を抱えています。2024年問題をはじめとし、慢性的な人手不足や配達スピードの迅速化、再配達の増加、燃料費の高騰などECの普及により増加した個人宅への配送や燃料費の高騰による経営コストの増加など、解決すべき課題が多くあります。

物流は私たちの生活に必要不可欠であり、今後も物流を継続していくためにも物流業界の課題について把握し、具体的に対策していくことが重要です。

この記事では物流業界の現状と抱える課題、国による解決策と業界での取り組みについて紹介します。

物流業界の現状

国土交通省によると、物流業界の市場規模は2020年7月時点で24兆円あり、市場規模は年々成長しています。


しかし、市場規模が成長する一方で働き手の不足なども問題を抱えています。人材不足に拍車をかけているのが物流業界に対する需要の増加です。インターネットが発達し、オンラインショッピングなどが盛んになったことにより、個人宅への配送が増加していることが理由の一つとして挙げられます。

配送先の数が増加しているにも関わらず人材は不足したまま増えないため負担が大きくなっています。

また、2021年に日本自動車販売協会連合会が発表した「物流業界の現状と将来」によると、2017年度のトラック運送事業の営業収入は約16兆円となっており、物流業界全体の収入の約6割を占めています。

物流業界の課題

物流業界が抱える課題について以下の7点を紹介します。

  • 2024年問題
  • 人手不足
  • 労働環境の悪化
  • 配達スピードの迅速化
  • 再配達の増加
  • 燃料費の高騰
  • 労働基準法の改正

2024年問題

最近よく耳にすることがある2024年問題ですが、物流業界が直面している課題の一つです。2024年4月以降、ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることで、一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると懸念されています。ドライバーの労働時間が規制されることで、純粋に流通できるものの量が減るため、物流業界の売り上げ減少やドライバーの収入減少の可能性が考えられます。

また、労働時間は制限されるものの、配達需要の高まりから配達するものの量は増加すると考えられます。そのため、短い時間で多くの荷物を運ばなければいけなくなり、労働環境の悪化やさらなる人手不足も懸念されます。

人手不足

物流業界が抱える課題として、深刻な人手不足が挙げられます。物流業界は従業員の高齢化や若手人材の不足などにより慢性的な人手不足に陥っており、配達の需要に見合った人手を確保できていない状況です

配送ドライバーの不足によって1人あたりのタスク量が超過しており、長時間労働が慢性化しているという課題があります。これらのブラックなイメージから新しい人材を採用するのも難しく、求人集客率の低下も人手不足が慢性化している一つの要因となっています。

労働環境の悪化

物流業界では翌日配送や指定日配達といった便利なサービスが普及しており、消費者にとっては当たり前のサービスになっています。

その反面、配達までの期間が短い荷物の量が増えることで労働者が1日にこなさなければいけないタスク量が増え、長時間労働、深夜労働が続くことで労働環境が悪化しています。

配送スピードの迅速化

個人宅への配達が増え、サービス提供者は顧客満足度を高めるためにも配送の迅速化を取り入れていることから、翌日配送などの消費者にとって便利なサービスが普及し、需要が高まっています

スピーディーに正確に荷物を消費者に届けるためにも、配送の効率的なルート計画や在庫管理、物流ネットワークの構築等、業務全体における技術的改革が必要となっています。

再配達の増加

インターネットやECの普及により、家にいても買い物ができるようになったことから個人宅への配送料が増加していますが、受取人の不在や住所の記載ミスにより商品の再配送が頻繁に発生し、労力・時間・コストを浪費しているという課題があります

宅配ポストの設置や自宅以外での受け取りサービスの拡大などの対策が求められています。

燃料費の高騰

燃料費の高騰という外的要因も課題の一つになっています。ガゾリン価格の高騰やエネルギーの需給のバランスの変動により、燃料費が高騰し配達業務にかかるコストが上昇し収益を圧迫しています。

労働基準法の改正

労働基準法の改正により、2023年4月から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に引き上げされます。これに伴い、残業が発生した場合に従業員への支払いが増加するため、経営コストの圧迫が懸念されています。

国土交通省による対策

物流業界が抱える複数の課題に対して、解決策として国土交通省が推奨する「改正物流総合効率化法案」の3つの方法を紹介します。

「改正物流総合効率化法案」とは2社以上が連携して物流業務を効率化させることを目的とした法律です。

  • 転送網の集約
  • 転配送の共同化
  • モーダルシフトの導入

転送網の集約

1つ目の対策は転送網の集約です。現状、物流拠点となる倉庫や工場が各地に分散しているため、各拠点間の輸送が必要となり業務の無駄が発生しています。この課題を解決するための対策として国土交通省は、拠点間の輸送を最低限にし、輸送効率を向上させるための各設備を集約した輸送連携型倉庫の設立を推奨しています

輸送連携型倉庫を設立し輸送網を1箇所に集約することで、運送コストを削減し、各ドライバーのタスクの軽減や配達スピードの向上に繋げられると考えられます。

転配送の共同化

2つ目は輸配送の共同化です。複数の物流企業が連携し、各企業が輸配送を担当することになっている商品を1台のトラックに積み込んで配送することで、輸送量の最大化と業務の効率化を図ることが目的です。

これまでの各企業が個別に荷物を配送する方法では、トラックの積荷に空きがある状態での配送が行われ、燃料費や人件費に無駄が発生していました。また、各社が同じ配送先に荷物を運ぶ場合でもそれぞれの企業がトラックを用意し別々に運ぶことが一般的です。

各企業間で連携をとることにより、積載量を最大化させ、ドライバーのリソースについても共同管理することで配送コストを削減し無駄のない効率的な配送が可能になります。

モーダルシフトの導入

3つ目はモーダルシフトの導入です。モーダルシフトとは、鉄道や船舶等の積載量が多い配送方法を導入することでトラックによる配送よりも業務効率を向上させる手法です。

これまでトラックでの配送が担っていた長距離の配送を鉄道や船舶に変えることで、一度に運べるものの量が増加するため、人件費や燃料コストの削減につながります

また、鉄道や船舶による運送は比較的低エネルギーで行うことができるため、環境問題の対策としても効果的だと考えられています。

参考:国土交通省「物流総合効率化法」

物流業界でできる対策

物流業界や企業内で改善できるポイントについて以下の3点を紹介します。

  • 物流システムの導入
  • 物流拠点の見直し
  • ロボットやドローンの導入

物流システムの導入

1つ目は物流システムの導入です。倉庫管理システムや商品管理のシステム、配送管理システムなどが挙げられます。

システムの導入によりこれまで人の手で管理していたデータや管理業務をデジタルで置き換えることができれば、各担当者の業務負担を大きく軽減させることができます。人が担当している業務の内容や配送・商品・在庫に関するデータがデジタル化され蓄積されることで、これまでの業務を可視化することができ、無駄な部分の発見・改善に繋げることができます。

また、人工知能や機械学習を活用して予測分析や最適ルートの特定などを行うことができれば、配送効率の改善や在庫管理の適正化を図ることができ、人件費の削減や経営コストの削減に繋げることが可能になります。

物流拠点の見直し

2つ目は物流拠点の見直しです。現状適切だと考えられる場所に物流拠点がない場合には拠点の新設などを視野に入れて見直しをかける必要があります。

関東などの中心部に物流拠点があれば全国各地への配送がしやすくなりますし、地方に適切に拠点を設けることで配送時間の短縮や適切な在庫管理ができるようになります。

拠点を見直すことで、配送効率の向上や在庫管理の適正化、災害対策、顧客満足度の向上などが期待できます。

ロボットやドローンの導入

3つ目はロボットやドローンの導入です。物流ロボットは国内での活用事例も多く、倉庫内の業務効率化につながります。これまで人が行っていた倉庫内での商品の運搬などをロボットに代替させることで人件費の削減につながります。

また、ドローンの活用も進んでいます。アメリカでは、すでにAIを搭載したロボットやドローンによる配送が開始されており、日本国内でもドローンの商用利用に向けたガイドライン策定やインフラ整備が進行中で、実証実験なども行われています。

配送だけでなく、倉庫内作業などもロボットやドローンによって自動化されることで人手不足解消につながることが期待されます。

物流業界の課題について相談するならレスターマッチングサービスがおすすめ

物流業界は、深刻な人材不足や労働環境の悪化、配達スピードの向上など様々な問題を抱えており、配達需要が高まる現在では一刻も早く解決することが求められています。

国土交通省が課題解決に乗り出すなど国を挙げて対策を進めており、各企業もできる対策から始めていくことが求められています。

自社で物流に関する課題を抱えているが、解決策として何を実施したら良いかわからない場合や、パートナー企業を見つけたい場合にはレスターマッチングサービスがおすすめです。

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