物流業界は需要の増加とともに多くの課題を抱えています。2024年問題をはじめとし、慢性的な人手不足や配達スピードの迅速化、再配達の増加などECの普及により増加した個人宅への配送や経営コストの増加など、解決すべき課題が多くあります。
物流ソリューションとは、これらの物流業界が抱える課題を解決するための施策の総称であり、物流における一連の業務をそれぞれ最適化し、課題解決に繋げようとする取り組みです。
この記事では、物流ソリューションの種類や導入するメリット、導入により解決できる課題について紹介します。
物流ソリューションとは
物流ソリューションとは、物流業務の品質や生産性を向上させるために取り組む施策の総称です。
物流には、6つの基本活動があるとされています。
- 輸送
- 保管
- 包装
- 流通
- 情報
これらの工程にはそれぞれの業務を効率化するための物流システムが存在しますが、物流ソリューションは物流の6つの活動を包括的に効率化する取り組みを指します。
物流ソリューションの種類
物流ソリューションの種類について紹介します。
- 物流システムの導入
- 物流ロボットの導入
物流システムの導入
上記でも紹介したように、物流には輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報の6つの活動が存在します。それぞれの工程を効率化するシステムが存在しており、また、それらを統合的に管理できるシステムもあります。
下記にて各工程で活用されているシステム種類を紹介します。
輸送
輸送業務を効率化する代表的なシステムとして輸配送管理システムが挙げられます。
輸配送管理システムとは、配車管理、進捗管理、実績管理など、商品を発送してからの輸送段階の情報を一元管理できるシステムです。
輸配送管理システムを利用することで、発送した商品の現在地や到着予定時刻を把握することができます。また、積付計画系の機能がついているため、トラックに効率的に無駄なく荷物を積み込むことができます。
保管
倉庫での保管業務を効率化する代表的なシステムとして、倉庫管理システムが挙げられます。
倉庫管理システムとは、入荷管理、在庫管理、棚卸、出荷管理などの倉庫内で発生する業務の情報を一元管理するシステムのことです。
ハンディのような読み取り機器を使用し、商品についているバーコードを読み取ることで在庫の位置を確認できるため、棚卸し業務の効率化や、倉庫内の在庫情報の一元管理が可能になります。また、帳票やラベルの発行などの作業も行えるため、工数や人件費の削減につながります。
包装
包装の工程では商品を段ボールや資材で梱包する作業があります。
これらの業務をロボットに行わせることができ、代表的なシステムとして梱包ロボットがあります。
梱包ロボットは、商品をダンボールや発泡スチロールなどの梱包資材に詰めるための産業用ロボットです。ロボットが自動的に作業してくれるため、人手を省くことができ、また自動化されているため人為的な作業ミスを減らすことが可能です。
流通
流通の工程を効率化するための代表的なシステムとして、検品システムが挙げられます。
検品システムとは、入出荷や棚卸しのチェック作業を効率化し、誤入荷や誤出荷を防ぐためのシステムです。
ハンディターミナルや端末によるバーコードの読み取りや、専用カメラ、RFIDを用いた読み取りを通して、管理システム上のデータと商品バーコードを照会します。入荷検品や出荷検品を自動化することができるため、作業効率の向上や人為的なミスの防止を期待できます。
情報
上記5つの工程に関わる情報を一元化、高度化し、物流業務全体を数字で可視化するための工程です。
輸配送管理システムや倉庫管理システムの他にも、需要予測システムや貨物追跡システムなどが挙げられます。
物流ロボットの導入
物流現場の各活動においては人の作業が介在していますが、人の労働をロボットに変えさせる動きも活発に行われています。
少子高齢化による労働人口減少の影響や物流業界の労働環境・高齢化による人材不足など様々な要因から人材不足が喫緊の課題として問題視されています。
物流業界の業務は、荷物の搬送やピッキングなどの肉体労働が多いことや、ドライバーの長時間労働が問題となっています。
そのため、物流システム全体を見直し、業務の効率化、省人化を進めるための一つの手段として、業務の自動化を担う物流ロボットが注目されています。
物流ロボットの種類としては、主に以下の3つが挙げられます。
- AGV（Automatic Guided Vehicle）：無人搬送型ロボット
- AMR（Autonomous Mobile Robot）：自律走行型ロボット
- GTP（Good to person）：棚搬送型ロボット
AGV（Automatic Guided Vehicle）：無人搬送型ロボット
AGV（Automatic Guided Vehicle）は無人搬送型ロボットと呼ばれ、これまで人が行っていた「歩く」、「運ぶ」といった業務を自動化するためのロボットです。
床にQRコードや磁気テープを敷き、ロボットがそれを読み取ることで、目的地まで走行します。外からの指示をもとに走行するため、決まった経路しか移動することができないですが、その分導入しやすいというメリットがあります。
AMR（Autonomous Mobile Robot）：自律走行型ロボット
AMR（Autonomous Mobile Robot）は自律走行型ロボットと呼ばれます。こちらもAGVと同じく、「歩く」、「運ぶ」といった業務を自動化するための搬送型ロボットですが、AGVと異なり、目的地までの誘導用の磁気テープやQRコードがなくても自律的に走行することができます。
レーザーや画像認識技術を利用することで、周囲の物や人物を検知し、目的の場所まで自律的に移動することができるため、人のピッキング作業量を増やし業務の効率化につながります。
GTP（Good to person）：棚搬送型ロボット
GTP（Good to person）は、棚搬送型ロボットを指します。GTPはピッキング作業を効率化するためのロボットです。作業員がいるピッキング作業場所までロボットが商品の入っている棚ごと運びます。
作業員は運ばれてきた棚から商品をピッキングするだけでよく、ピッキングが終わった後はロボットが元の場所まで棚を戻してくれるため、人がピッキング場所まで移動しまた戻ってくるという作業を省くことができます。
物流ソリューションを導入するメリット
物流ソリューションを導入するメリットについて以下の4つを紹介します。
- 業務の効率化を図れる
- 生産性が向上する
- コスト削減できる
- 業務品質が向上する
業務の効率化を図れる
物流ソリューションを導入することで業務の効率化を期待できます。これまで人力で行っていた作業をロボットに代替したり、倉庫や配送に関する情報をデジタル化することにより、業務効率が向上します。
生産性が向上する
物流ソリューションの導入によって生産性の向上を期待できます。ロボットの導入により人の作業を減らすことができれば、その分の空いたリソースで他の作業を行うことができるようになりますし、情報のデジタル化によって業務の可視化し、作業員間で共有することができるため、状況を把握しやすくなり作業効率を上げることが可能になります。
コスト削減できる
ロボットの導入やシステムの導入により、人の作業をシステム化することができるため、人件費の削減につながります。また、輸配送管理ステムや倉庫管理システムなどを導入し配送経路の短縮や倉庫の空きスペースの発見・活用ができれば、配送コストや倉庫の賃貸費用などのコスト削減に活かすことも可能です。
業務品質が向上する
物流ソリューションで搬送ロボットやシステムを導入することで、属人的な環境を改善することができるため、人為的なミスを減らすことができ業務品質が向上します。
物流ソリューションで解決できる課題
物流ソリューションで解決できる課題について以下の3つを紹介します。
- 人材不足
- 保管スペース不足
- 配送業務の負担
人材不足
ここまでにも触れてきたように、昨今の物流業界では深刻な人手不足問題が顕在化しています。
労働環境の悪化や低賃金・人材の高齢化といったマイナスなイメージが強く若手の人材採用に苦戦している企業も多くあり、人手不足は加速する一方で、物流へのニーズは高まり続けています。
採用活動を進める一方で、物流ソリューションを導入することにより、人材不足の課題解決に大きく貢献できます。物流ソリューションの導入により、業務の効率化・生産性の向上が実現できるようになるため、既存スタッフのみでも一人一人のこなせる作業量が増えることにより、人材不足の問題を解消できます。
保管スペース不足
インターネットの普及やコロナ禍による外出制限により、ECでの消費活動が活発になり、個人宅への配送が増加しています。個人宅への配送が増えたことにより物量が多くなったため、倉庫などの保管スペース不足に陥る企業も少なくありません。
物流ソリューションの導入により、保管スペース不足の解消につながります。
倉庫管理システムやロボットを導入することで、保管スペースの無駄の発見・解消や、人が通るためのスペースの削減、棚の高層部分の保管スペースとしての活用が可能になります。
配送業務の負担
人材不足にも関連しますが、物流業界ではドライバーの不足・業務負担の大きさが問題になっています。
また、2024年4月の働き方改革関連法における労働環境の整備により、ドライバー1人当たりの労働時間が減少するため、配送業務のオペレーションを見直す必要があります。
物流ソリューションの導入により、配送管理システムを導入することで、最適配送ルートの検索やトラックの積荷効率の最大化を図ることができるため、配送効率が大幅に向上させることでオペレーションの改善が期待できます。
物流ソリューションの導入について相談するならレスターマッチングサービスがおすすめ
物流業界は、深刻な人材不足や労働環境の悪化、配達スピードの向上など様々な問題を抱えており、配達需要が高まる現在ではこれらの問題を一刻も早く解決することが求められています。
物流ソリューションは物流課題を包括的に解決する取り組みであり、自社が抱える課題や状況に合わせて最適なソリューションを導入することで物流業務を効率化、生産性を向上させることができます。
物流ソリューションについて相談したいけれど導入するシステムや選ぶべき企業がわからないという場合には、レスターマッチングサービスがおすすめです。
『レスターマッチングサービス』は、コンサルティング型のビジネスマッチングサービスで、担当者が企業の課題をヒアリングし最適な企業候補の選定から解決策の提案まで行います。
ヒアリングの内容から、適切な解決策を提示してくれる企業やニーズに合わせたパートナー企業の選定、紹介を行うことが可能なため、ぜひ一度ご相談ください。
