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オープンイノベーションとは、他社企業と協働し革新的なアイディアや新しい価値を生み出すことを指します。

様々なサービスや物に溢れる現代では、自社の優位性や独自性を出すことがますます難しくなっています。自社のこれまでの事業での知見や経験の範囲では新たな価値を創造することが難しいため、イノベーションのためにも異なる業種の企業と協業することが求められています。

オープンイノベーションは新たな価値創造を目的とする「共創」のための手段の一つと言えるでしょう。オープンイノベーションを考えている企業にとっては、これまでの成功事例の中でどのような取り組みがなされてきたのか知ることも重要です。

この記事では、オープンイノベーションの目的や注目される背景、メリットやデメリット、オープンイノベーションの成功事例を5つ紹介します。

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、自社以外の企業や組織が持つ技術や知識、人材を活用して新しいアイディアや製品、サービスを創造することを指します。

従来の自社内のみの製品・サービス開発から脱却し、企業や組織が市場内での競争力を維持し、新たな市場機会を模索するための手段として注目されています。

オープンイノベーションの目的

オープンイノベーションの目的は、企業の枠にとらわれず事業を促進・創造することにあります。社内環境下のみの事業創出やサービス開発では、これまでの社内での取り組みやルールに無意識に縛られてしまい、新たな視点でのイノベーションができなかったり、市場で新たに生まれているニーズに追いつけなかったりする事態が発生しているケースも少なくありません。

オープンイノベーションにより複数の企業が協力することで、今までにない視点や発想から新しい事業を生み出すことが求められています

オープンイノベーションが注目される背景

近年、オープンイノベーションが注目される背景として以下の2つの理由が挙げられます。それぞれについて以下で紹介します。

  • プロダクト・ライフサイクルの短期化
  • 消費者ニーズの多様化

プロダクト・ライフサイクルの短期化

オープンイノベーションが注目される背景の一つに、プロダクト・ライフサイクルの短期化が挙げられます。近年のIT技術の急成長やグローバル化の促進などの時代の変化に伴い、市場競争はさらに加速しており、製品やサービスが世の中に出てから成長し衰退するまでの変遷を表すプロダクト・ライフサイクルは短期化しつつあります。

技術の発展に伴い、次々と新しい製品やサービスを世に出していくことが可能になったため、1つ1つの商品自体もすぐに消費されていきます。変化の激しい消費者のニーズに応えるためにも短期間で市場のニーズを満たした製品を作る必要があります

消費者ニーズの多様化

もう一つの背景として、消費者ニーズの多様化が挙げられます。サービスや物に溢れる現代では、消費者のニーズが多様化・複雑化しています。

社内のみの事業やアイディアでは、これまでの視点からのサービスや製品しか生み出すことができず、多様化する消費者のニーズに応えられない可能性があります。消費者のニーズを満たすような製品・サービスを提供することで、企業が市場での競争力を維持することにもつながります。

オープンイノベーションでの外部からの技術や人材などのリソース調達により、新しい視点でのサービス開発や事業の立ち上げができるようになるでしょう。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションを実施するメリットには以下の3つがあります。

  • 事業スピードの向上
  • コスト削減
  • 新たな知見の獲得

事業スピードの向上

事業を進めていくにあたって、自社内のみの環境下では同じ環境に属する限られたリソースのみで推進するため、仮に前例のない課題に直面した際、どうしても行き詰まりやすいという課題があります。

オープンイノベーションによる事業の場合、外部の企業や組織と協力して進めるため、自社にない知見・能力・技術を取り入れることができ、消費者ニーズの理解や、具現化におけるプロセス・知見の享受を図ることができます。新規事業の推進においては前例のない課題に直面することがほとんどですが、外部の知見も借りることで解決策が生まれやすく、スピード感を持って推進していくことができるというメリットがあります。

コスト削減

オープンイノベーションにより外部リソースを活用することで、開発コストや期間を短縮できます。

自社で研究開発に関する機器や研究所を保有していなくても、相手企業が持っていればそれを活用することができます。また、自社にはない領域に強い人材もオープンイノベーションにより相手企業から提供してもらえるため、人件費の削減につながるというメリットがあります。

新たな知見の獲得

オープンイノベーションは、自社にはなかった新たな知識や技術の獲得の機会にもなります

他社と事業を進めることで、自社だけでは思いつかなかったアイデアや新しい技術に触れることができます。また、オープンイノベーションで学んだ新たな知識や技術は、製品やサービスに落とし込めるだけでなく事業推進に関わった人達への教育にもなるため、人材育成の一環としても活用できます。

オープンイノベーションのデメリット

オープンイノベーションを実施するデメリットとしては以下の2つがあります。

  • 情報漏洩のリスク
  • 利益率の低下

情報漏洩のリスク

オープンイノベーションにより社外に自社のアイデアや技術を公開するということは、情報漏洩につながってしまうリスクがあるということにもなります。

情報の受け渡しを規制しすぎるとオープンイノベーションのメリット面を享受することができませんが、企業の絶対的に優位性がある機密情報などに関しては徹底するなど必要以上に外部へ情報を発信しないための規定策定は必要になります。

利益率の低下

オープンイノベーションは外部の企業や組織と協力して製品やサービスを作るため、創造した商品の販売によって生まれた利益は分配しなければなりません

クローズドイノベーションの場合は、自社のみで売り上げを全てもらうことができるため自社への利益還元率が相対的に高く収まりますが、外部連携した場合、連携先への利益配分が必要となるという点に注意しましょう。

オープンイノベーションを成功させるためのポイント

オープンイノベーションを成功させるためのポイントとして、以下の3点を紹介します。

  • 目的・ビジョンを社内で共有する
  • 専任の部署や担当者を付ける
  • オープンイノベーション促進税制を活用する

目的・ビジョンを社内で共有する

オープンイノベーションを成功させるためには、取り組みの目的や期待する効果を明確にすることがポイントです。

新たな事業を推進していくには全社的な協力が不可欠です。事業に取り組むメンバーだけではなく、社内全体で目的を共有するためにも経営層から社内全体に目的・ビジョンをしっかりと共有することが大切です。

専任の部署や担当者を付ける

オープンイノベーションは会社をあげて新たな製品やサービスを開発する新たな取り組みとなるため、多くの人が関わるプロジェクトとなります。そのため、中心となって積極的に推進していく専門組織や担当者を設けることが成功させるためのポイントです。

例えばオープンイノベーション専門の部署を新たに設置するなどすることで、部署としても目標数値をもち予算などを管理しながらスピード感をもって進めることができるようになります。

オープンイノベーション促進税制を活用する

オープンイノベーションは国もその促進を支援しています。経済産業省が提供している「オープンイノベーション促進税制」を活用することができます

オープンイノベーション促進税制とは、国内の対象法人が、オープンイノベーションを目的としてスタートアップ企業の株式を一定数以上取得する場合、取得価額の25%を所得控除できる制度です。

オープンイノベーションの事例5選

オープンイノベーションの成功事例として、以下の5つを紹介します。

  • 株式会社資生堂
  • 東京建物株式会社
  • 花王株式会社
  • P&G
  • 沖電気工業株式会社

株式会社資生堂

ドリコス株式会社と株式会社資生堂は製品企画で包括的業務提携を締結しました。

資生堂は、自社内の特定の部署による研究開発が行われていましたが、それぞれの部署が高度な技術を持つようになる一方で部署間の連携に課題がありました。そこで、部署や企業のつながりを超えて横断的なプロジェクトを推進することで、新しい価値の創造を目指すオープンイノベーションに着目しました。

ドリコスは半導体技術を活用し、消費者の体の状態に合わせたサプリメントを提供するマシンを提供していますが、ベンチャー企業ならではの販売チャネルや流通網の不足という課題の解決と、サプリメント市場以外での新たなビジネスチャンスの獲得を目的として資生堂との業務提携に至りました。

資生堂が持つ化粧品開発のノウハウと、ドリコスのオーダーメイド・サプリメントマシンのノウハウを融合させることで、製品企画や新規ビジネスの開拓を行っています。

参考:https://ils.tokyo/performance/case/case11.php

東京建物株式会社

株式会社スペースマーケットと東京建物株式会社は2018年に資本業務提携を締結し、休業日で使われなくなっているマンションのモデルルームや、再開発地域の未利用物件を有効活用する取り組みを行っています。

東京建物は、不動産供給量の増加やライフスタイルの多様化といった環境の変化による新規事業開発の必要性を感じており、社内のオープンイノベーションの専門組織が立ち上がりました。

スペースマーケットは、空きスペースの貸出事業を行っており、さらなる事業拡大のフェーズで貸し出すスペースをどれだけ増やせるかが課題となっていました。

両社は様々な事業連携に取り組んでいますが、まずは東京建物が管理する物件の空きスペースをスペースマーケットが貸し出すという提携を行っています。

参考:https://ils.tokyo/performance/case/case16.php

花王株式会社

消費財メーカーである花王株式会社と、名古屋⼤学発ベンチャーの株式会社ヘルスケアシステムズは、2021年6月より「皮脂RNA」を活用した郵送検査サービスの共同開発を行いました。

花王の持つ、あぶらとり紙から採取した皮脂から肌の状態を推測し、乳児の肌の疾患の早期見極めができる技術をもとに、「ベビウェルチェック」という自宅にいながら乳幼児の肌バリア機能を知ることができるサービスを開始しました。郵送検査事業のノウハウについては、株式会社ヘルスケアシステムズが持つノウハウを生かしたサービスになります。

参考:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230221-001/

P&G

P&Gは世界最大の消費財メーカーで「つながる+開発」というオープンイノベーションに取り組んでいます。これまでにも多くのオープンイノベーションに取り組んできましたが、実際に成功したオープンイノベーションの事例として、P&Gが販売するポテトチップスの「プリングルス」があります。

プリングルスの商品企画チームは、面白みのある商品のアイデアとして、チップスにキャラクターをデザインしたいという案を思いつきましたが、当時は食用印刷技術を持っておらず、オープンイノベーションを実践するに至りました。

クッキーに印刷できる食用インクジェット技術を発明したイタリア人がプロジェクトに参画することでチップスにもデザインを入れることができるようになり、そのまま製品化されるようになりました。

参考:https://www.pgconnectdevelop.com/

沖電気工業株式会社

沖電気工業株式会社(OKI)と株式会社ロンコ・ジャパンは、2024年問題としても議論になっており人材不足が課題となっている物流業界において、AIによる配送計画の自動化を実現しました。


BtoBの物流業界では、車両手配などは属人的にアナログで行われているという課題を、OKI独自のアルゴリズム「コスト最小型ルート配送最適化AI」により、複数車両で荷物を配送する分割配送の配送計画にも対応した形で自動化しました。

PoC段階の数値ではありますが、1日13台として走行距離約8%、燃料費換算で年間では約360万円相当の削減、また、年間約440kgのCO2排出量削減が可能だというデータも得られています。

参考:https://www.oki.com/jp/yume_pro/interview/archives/20211215/index.html

オープンイノベーションをお考えならレスターマッチングサービスがおすすめ

オープンイノベーションは企業が新しい視点やアイディア、技術を取り入れて新たなイノベーションを創出する際に有効な手段です。

これまでの自社内のみでのイノベーションだと、社内の慣習やこれまでの取り組みの中でしかアイディアが生まれず、社内にあるリソース内でしか商品の開発ができないというデメリットがあります。オープンイノベーションにより外部のアイディアやリソースを取り入れることで、これまでになかった製品やサービスを生み出すことができ、消費者のニーズに応えることができ、また、企業としての競争力も高まります。

「オープンイノベーションに取り組みたい」、「行いたい事業があるが、相手企業を探している」という場合には、レスターマッチングサービスがおすすめです。

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