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2022年に「スタートアップ育成5か年計画」が政策として策定されるなど、日本国内でのスタートアップへの支援は年々拡大しており、新しい事業にチャレンジしたいと考える人材が挑戦しやすい環境が整えられています。

しかし、スタートアップは大企業や中小企業と比較して、事業を行なうための資金や人材が不足しているという課題があり、立ち上げ後に資金繰りがうまくいかず倒産するということも考えられます。

そのため、スタートアップが資金や人材を調達していくには、国や自治体、民間団体などが提供している補助金や助成金を知り、上手く活用していくことが重要です。

本記事では、スタートアップが受けられる助成金について紹介します。補助金との違いやスタートアップが申請できる助成金、交付までの流れについて紹介します。

補助金と助成金の違いは?

補助金と助成金はどちらも返済不要な支給金という点は共通していますが、使用目的や運営団体が異なります

まず、補助金についてです。

補助金は、経済産業省が運営主体となっています。主に、事業を通じて公益を達成するために利用されることを前提としています。

支給される額は高額ですが、条件を満たし審査に通過した事業者しかもらうことができません。高倍率で審査要件も厳しいため、支給の難易度は比較的高いでしょう。募集期間も短期間のため、補助金の申請を考えている場合は常に最新情報をチェックしておく必要があります。

次に、助成金についてです。

助成金は、厚生労働省が運営主体となっています。主に、雇用の増加・創出や人材育成などを行なうために利用されることを前提としています。

支給額は補助金に比べると少額であることが多いですが、一定の要件を満たせばほぼ必ずもらうことができます。

助成金は通年募集しているため、自社に関連する助成金があるかチェックしてみると良いでしょう。

補助金・助成金の運営主体

補助金・助成金の運営主体として代表的な経済産業省・厚生労働省について上記で紹介しましたが、その他にも運営主体があります。

ここでは、以下の4つの運営主体について紹介します。

  • 経済産業省
  • 厚生労働省
  • 地方自治体
  • 民間団体

それぞれ支給金額や使途の違いがあるため、特徴を理解して応募するようにしましょう。

経済産業省

経済産業省からは、高額な補助金をもらえる可能性があります。事業の立ち上げなどに際してまとまった金額が欲しい場合に向いています。

ただし、申請者数が多く審査基準も厳しいため、応募した人すべてがもらえるとは限りません。

産業の振興を目的とした支援金となるため、それに合った使いみちにする必要があります。

厚生労働省

厚生労働省は助成金を中心に取り扱っており、一定の条件を満たすと支援を受けることができます。

経済産業省が提供する補助金よりも少額ではありますが、一定の条件を満たすとほぼ確実にもらえるため、申請のハードルは低いです。

助成金は主に人材や雇用に関連することに使用することを前提とした支援金のため、人材の採用や雇用の創出などに取り組みたいと考える企業は、厚生労働省が提供する助成金の活用を検討してみてください。

地方自治体

官公庁のみではなく、それぞれの地域にある企業向けに地方自治体が運営している補助金・助成金もあります。

国の機関である経済産業省や厚生労働省が提供する補助金・助成金に比べると、地方自治体は財源が限られているため比較的少額であることが多いですが、自社がある地域独自で運営されているものがあれば活用することで資金を増やすことができるでしょう。

自社が本拠地としている自治体において提供されている補助金・助成金があるかどうか確認したい場合は、以下を参考にしてみてください。

参考:創業者向け補助金・助成金(都道府県別)

民間団体

民間団体も補助金・助成金を提供している運営主体の一つです。

民間団体や財団の補助金・助成金の例として、以下の3つを紹介します。

この他にも多く展開されていますので、参考にしてみてください。

【三菱UFJ技術育成財団】

三菱UFJ技術育成財団では、研究開発助成金を運営しています。技術開発に取り組む中小企業の新技術や新製品などの研究開発に対する助成金の交付事業を行っています。

対象者設立後もしくは創業後または新規事業進出後5年以内の中小企業(大企業や上場企業の子会社・関連会社を除く)または個人事業者で、優れた新技術・新製品等を自ら開発し、事業化しようとする具体的計画を持っている者。
対象事業現在の技術から見て新規性があるプロジェクトで、以下のいずれかに該当し、原則として2年以内に事業化の可能性があるもの(他の助成金制度との併願も可能)。産業経済の健全な発展と国民生活の向上に資すると認められる新技術・新製品及び関連する設備・部品・原材料等の開発に関するもの。上記1.に準ずるもの。
使途研究開発のために必要な調査研究費、設計費、設備費、試験費、試作費等
支給金額300万円以内(1プロジェクトにつき)かつ研究開発対象費用の2分の1以下

参考:三菱UFJ技術育成財団「研究開発助成金」

【公益財団法人 大田区産業振興協会】

公益財団法人 大田区産業振興協会では、東京都大田区に立地する中小企業に対してスタートアップが開発依頼をする場合に助成金を交付する取り組みを行っています。

スタートアップ企業の案件や技術、取り組みを大田区に呼び込むとともに、大田区にある中小企業の成長を図ることを目的としています。

対象者登記から6カ月以上5年以内のスタートアップ企業(立地については区内又は区外を問わない)
対象事業次のいずれかに該当する事業であって、大田区企業へ直接依頼・発注するものとし、見積りを徴収していることを条件とします。新製品や高性能製品を製造する際の部品・パーツ、ユニット・装置の試作・製造又は設計・製作委託 高度技術やノウハウが要求される、ものづくりを伴う研究・開発の委託 高度なソフトウェアの設計、開発委託等1~3に係る要件定義や相談・助言・コンサルティング業務の委託
使途研究開発のために必要な調査研究費、設計費、設備費、試験費、試作費等
助成額【大田区内に登記するスタートアップ企業】助成額限度:50万円助成率:助成対象経費の1/2
【大田区外に登記するスタートアップ企業】助成限度額:50万円助成率:助成対象経費の1/3

参考:公益財団法人 大田区産業振興協会「令和5年度 スタートアップ×大田区企業 ユナイト助成事業 募集のお知らせ」

【公益財団法人 京都産業21】

公益財団法人 京都産業21はスタートアップ支援の取り組みとして補助金等による事業支援・資金調達支援を行っています。

京都発のスタートアップを支援するため、エンジェルコミュニティの形成や資金調達の支援などを行っています。

募集中の補助金も複数掲載されているため、該当する方は参考にしてみてください。

参考:公益財団法人 京都産業21「スタートアップ支援概要」

スタートアップが申請できる助成金

スタートアップが申請できる助成金について、以下の7つを紹介します。

  • キャリアアップ助成金
  • キャリア形成促進助成金
  • 労働移動支援助成金
  • 中途採用等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 地域雇用開発助成金

キャリアアップ助成金

キャリアアップ雇用奨励金は、非正規労働者の企業内でのキャリアアップを支援する制度です。非正規雇用者を正社員へ転向させたり、就労規則を改正して賃金アップや賞与を設定したりすると支援を受けることができます。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

キャリア形成促進助成金

キャリア形成促進助成金は、働く人のキャリア形成を促進するため雇用している労働者に対して職業訓練などを計画的に実施した場合に、その費用を一部助成してくれる制度です。

人材育成制度を導入したり、従業員のキャリアアップを狙う取り組みを行うことで、支援を受けることができます。

参考:厚生労働省「キャリア形成促進助成金のご案内」

労働移動支援助成金

労働移動支援助成金とは、事業規模の縮小などに伴った人員整理などにより離職することになった従業員に対して、再就職支援や受け入れを行う企業に助成金を支給する制度です。

労働移動支援助成金には2つのコースがあります。

・早期雇入れ支援コース

離職後3か月以内の対象者を無期限の労働者として雇い入れ、継続して雇用することができる事業主に対して助成金を支給するコースです。

通常、支給対象者一人当たり30万円が支給されます。また、早期雇入れ支援の対象者に対してOff-JTやOJTなどの職業訓練を行った場合には、さらに上乗せされた金額が支給されます。

参考:厚生労働省「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」

・再就職支援コース

事業規模の縮小などにより離職しなければいけなくなった従業員に対して、再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や、再就職のための研修・教育を外部に委託して実施した事業主に、助成金を支給するコースです。

参考:厚生労働省「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」

中途採用等支援助成金

中途採用等支援助成金は、中途採用を実施する事業者へ助成金を支給する制度です。

中途採用の目的や取り組みの内容から、2つのコースが用意されています。

・中途採用拡大コース

中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図る事業主に対して助成金が支払われるコースです。

具体的には、中途採用率を20ポイント以上上昇させた場合には50万円、各要件を満たし45歳以上の中途採用率を上昇させた場合には100万円が支給されます。

各要件については以下の表を参考にしてください。

 助成概要助成額   
(A)中途採用率の拡大中途採用率を20ポイント以上上昇させた事業主に対する助成50万円

(B)45歳以上の中途採用率の拡大
以下のすべてを満たす事業主に対する助成・中途採用率を20ポイント以上上昇させた・採用した中途採用者のうち45歳以上の労働者で10ポイント(45歳以上中途採用率拡大目標値)以上上昇させた・当該45歳以上の労働者全員の賃金を前職と比べて5%以上上昇させた100万円

参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」

・UIJターンコース

東京圏から地方へ移住した人を雇い入れた事業主に対し、その採用活動に要した経費の一部を助成金として支払うコースです。

助成金を受給するためには、採用活動の計画書を各自治体の労働局に提出し、認定を受ける必要があります。

また、計画書で定めた期間に以下の採用活動を行うことも条件となっています。

  • 募集・採用パンフレット等の作成・印刷
  • 自社ホームページ・自社PR 動画の作成・改修
  • 就職説明会・面接会・出張面接等(オンラインによるものを含みます)
  • 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士、民間有料職業紹介事業者等)によるコンサルティング

助成対象経費に該当するものは以下の通りです。

対象経費上限額
就職説明会などの実施で発生した費用のうち採用担当者の交通費国家公務員の旅費に関する法律により算出される鉄道料金、船賃、航空賃および車賃の合計額
就職説明会などの実施で発生した費用のうち採用担当者の宿泊費1人1泊8,700円

また、支給額は以下のように規定されます。企業規模に応じて助成対象経費の合計額に下記の助成率を掛け合わせて算出します。

助成率上限
中小企業1/2100万円
中小企業以外1/3100万円

参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」

特定求職者雇用開発助成金

高齢者や障害者など就職が困難である人を、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成金を支払う制度です。

2023年時点で提供されている特定求職者雇用開発助成金のコースは6つあります。

・特定就業困難者コース

高齢者や障害者などの就職が難しい人を、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成金を支払う制度です。

支給額は対象者の類型と企業規模に応じて変化しますが、短時間労働者以外で雇用する場合は、60万円〜240万円支給されます。

参考:厚生労働省「特定就業困難者コース」

・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害や難病を抱える人を、継続的に雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成金を支払うコースです。

短時間労働者以外の人を雇う中小企業の場合は2年の助成期間で120万円が支給されます。

参考:厚生労働省「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」

・三年以内既卒者等採用定着コース

学校の既卒者や中退者が求人に応募できるよう、既卒者などが応募可能な新卒求人の募集を行い、新卒として採用後、一定期間定着させた事業主に対して助成金を支払う制度です。

支給額は応募者の属性や継続期間によって変わりますが、中小企業が既卒者の採用を行った場合は、1年定着後に50万円、2年定着後に10万円、3年定着後に10万円支給されます。

参考:厚生労働省「三年以内既卒者等採用定着コース」

・就職氷河期世代安定雇用実現コース

いわゆる「就職氷河期」に正規雇用の機会を逃し、その後のキャリア形成を十分に行うことができなかった人を、正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対して助成金を支払うコースです。

大企業の場合は1年間で50万円、中小企業の場合は1年間で60万円支給されます。

参考:厚生労働省「就職氷河期世代安定雇用実現コース」

・生活保護受給者等雇用開発コース

ハローワークや地方公共団体にて、通算3ヶ月以上生活保護を受けている人や生活困窮者を継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に助成金を支払う制度です。原則、一年の助成期間で一人当たり60万円が支給されます。

参考:厚生労働省「生活保護受給者等雇用開発コース」

・成長分野等人材確保・育成コース

高齢者や障害者などの就職が難しい人材を雇い入れ、成長分野の業務を行ってもらうことで、人材育成や職場への定着に取り組む事業者に助成金を支払う制度です。

成長分野とは、ここでは情報処理・通信技術者に該当する業務と研究・技術の職業に該当する業務が該当します。

成長分野への業務を行ってもらうことで、他のコースよりも高額の助成金が支給されます。

支給額は雇い入れる労働者によっても変わってきますが、短時間労働者でない場合は年間90万円〜360万円が支給されます。

参考:厚生労働省「成長分野等人材確保・育成コース」

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、企業が労働者を最大3ヶ月間を試用期間として労働者を雇用した場合に助成金を支給する制度です。

企業と労働者間で合意があれば、試用期間終了後に正社員として雇うことも可能です。

トライアル雇用助成金には3つのコースがあります。

・一般トライアルコース

これまでの職業経験や技能、知識などから安定的な就職が困難な求職者を一定期間試用雇用した場合に助成金を支給する制度です。

支給者一人につき月額4万円支給されます。

参考:厚生労働省「一般トライアルコース」

・障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

障害者トライアルコースは、就職が困難な障害者を一定期間雇用した企業に助成金が支払われる制度です。

対象労働者が精神障害を抱えている場合は、月額最大8万円、それ以外の場合は月額最大4万円が支給されます。

障害者短時間トライアルコースは、障害者を一定期間試行的に雇用し、雇い入れ時の週の労働時間を10時間以上20時間未満とすることを目指すコースです。

一人につき最大4万円が支給されます。

参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

・若年・女性建設労働者トライアルコース

建設業において若年層や女性の雇用を促進するため、一般トライアルコースあるいは障害者トライアルコースの支給対象となった労働者のうち、35歳未満または女性の場合、助成金が支給される制度です。

原則1ヶ月につき4万円支給されます。

参考:厚生労働省「若年・女性建設労働者トライアルコース」

地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金は、地域の雇用を活性化させることを目的とした助成金です。

2つのコースが用意されています。

・地域雇用開発コース

雇用機会が特に不足している地域の事業主が事業所の設置や整備を行い、その地域に住む求職者を雇い入れると、設置設備費用と対象労働者の増加に応じて助成金が支給される制度です。

参考:厚生労働省「地域雇用開発コース」

・沖縄若年者雇用促進コース

沖縄県内において事業所の設置や整備を行い、県内に住む35歳未満の若年求職者を雇い入れる事業主に助成金が支給される制度です。

参考:厚生労働省「沖縄若年者雇用促進コース」

助成金交付までの流れ

助成金の交付までの一般的な流れは以下の通りです。

1.助成金の選定

まずは申請する助成金の選定を行います。厚生労働省や各自治体のサイトを確認し、申請できる助成金を選定します。

2.申請

助成金が決まったら実際に申請します。事業計画書など必要書類を合わせて提出します。

3.計画の実施

補助金と異なり、採択のステップがないため申請が完了次第すぐに事業計画の実施に移ることができます。助成金の対象になる事業の期間はそれぞれ異なるため、申請時に確認しておきましょう。

4.請求

計画していた事業を実施し期間が終了したら、運営主体側に助成金の交付申請をします。

5.交付

申請が受理されると助成金が交付されます。

助成金も後払い制のため、事前にある程度の資金準備が必要になります。

まとめ:スタートアップの助成金申請の支援会社をお探しならレスターマッチングサービス

スタートアップが利用できる助成金には、主に厚生労働省が提供する支給金の他にも、各地方自治体が提供するものや民間団体が提供するものなど様々あります。

助成金は返済不要で利用できるため、資金面での援助を考えているスタートアップ企業は申請を検討してみてください。

また、補助金・助成金の使途の違いや支給額の違いなどを理解し、特に雇用や人材育成での資金を調達したい場合には助成金を申請すると良いです。

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