インターネットの発達によりオンラインショッピングが可能になり、実店舗に行かなくても商品を購入できるようになりましたが、コロナ禍を経てさらにその傾向が強まっています。
個々人のオンラインショッピング機会の増加に伴い、物流サービスへの需要も高まっています。
物流管理は、在庫管理や情報共有などを正確かつ素早く行い、出荷までのリードタイムを短縮するとともに顧客満足度を上げるためにも重要な業務です。
この記事では、物流管理の仕事内容や目的、現状の課題と効率的に行うための方法について紹介します。
物流管理とは
物流管理とは、輸送や保管、包装などといった物流業務を効率化させるために行う管理業務のことです。
物流管理を行うことで、商品やサービスの品質を維持し、物流コストを最適化することができるようになります。
ECやインターネットの発達により、物流量が増加傾向にあるため、受発注情報の管理や輸配送管理、在庫管理などを正確かつスピーディーに行うことが非常に重要になっています。
物流管理の仕事内容
物流管理の仕事内容は多岐に渡ります。具体的には、商品の加工や梱包、荷役、保管、情報管理など、入荷から出荷に至るまでに発生する物流の業務全般を行います。
また、取引先とのコミュニケーションやスケジュール調整、コストの交渉、配送ルートの手配や在庫数を照らし合わせた上での発注数の調節など、幅広い業務があります。業務ごとに担当者が異なることが多いため、情報の共有が非常に重要になります。
物流管理の目的
物流管理を行う目的には、大きく以下の3つがあります。
- 物流業務の効率化
- 物流業務の品質向上
- 物流コストの最適化
物流業務の効率化
目的の一つとして物流業務を効率化することが挙げられます。物流業務を管理し、各工程の状況をタイムリーに把握することで業務を効率化することができます。
多岐にわたる物流業務の工程を可視化し、リアルタイムで各工程を担当している人の状況を情報共有することで倉庫内での作業をスムーズに行うことができます。データ管理や情報伝達がうまくできていないと、作業ミスやいらない作業の手間が発生してしまいます。
うまく物流業務を効率化することができれば生産性の向上にもつながるでしょう。
物流業務の品質向上
物流管理を通して商品の受注から配送までの工程を正確に、スピーディーに行うことができるようになると、品質向上につながります。
品質向上のために確認すべき観点には以下のようなものがあります。
- 欠品がないか
- 注文通り配送できているか
- 数量や梱包方法に間違いはないか
- 納期に間に合っているか
- 不良品などが混じっていないか
欠品を防ぐには物流管理業務の一つである在庫管理が重要になります。欠品状態を避けるために過剰に在庫を抱えすぎるのもロスになり問題になるため、注文状況や売上の分析を行いながら適切な量の在庫を持つ必要があります。
また、注文通りの配送を行うことも物流業務では重要です。注文を受けた際に「誰が、何を、いくつ注文したのか」という情報が必要になるため、商品データを顧客情報を一元管理しておく必要があります。
そのほかにも納期を守って配達すること、不良品が混じらないようにすることなど、物流の品質を維持・向上するにあたって考慮すべき項目は多岐に渡ります。これらを正確に適切に業務として遂行できるよう、物流管理が必要となります。
物流コストの最適化
物流業務を行う上では倉庫やシステムの設備投資費、人件費、光熱費といった様々なコストが発生します。
物流管理を行うことで、それぞれにかかっているコストを可視化し、無駄が発生している部分があればコストカットすることもできます。
また、在庫管理などの物流管理を通して適切な在庫を常に保持しておくことも、無駄な発注の削減につながるため、コストをカットすることができます。
複雑化する物流管理の課題
物流管理は非常に重要ですが、物流管理には頻繁に発生しがちな課題がいくつかあることを認識しておく必要があります。ここでは、主に以下の4つの課題について紹介します。
- 誤出荷
- リードタイムの短縮
- 在庫管理の方法があいまい
- 人員・スペース不足
- ドライバー不足
誤出荷
物流管理の課題の一つに誤出荷があります。類似した商品の保管方法や出荷業務のフローが統一化されていないことにより注文とは異なる商品を出荷してしまうことがしばしばあります。
ECサイトの発展により個人の出店者も増加しているため、大型の倉庫では、複数の出店者の商品が同じ倉庫内に保管されていることもあります。商品の保管場所の管理や業務フローについて作業者に共有を徹底し、品目や色、サイズなどを識別しやすいように管理することが重要です。
リードタイムの短縮
商品発送までのリードタイムを短縮することは、物流業務の効率化や顧客満足度の向上などにつながるため非常に重要ですが、まだまだ改善されていないのが現状です。
リードタイムを短縮することで顧客満足度の向上につながりますが、リードタイムは作業にかかる時間でもあるため、無理に削ろうとするとピックアップする商品を間違えたり注文数量を間違えたりする可能性があり本末転倒です。
リードタイムを短縮し、正確に商品を配送するためには、情報伝達を適切に行い、リアルタイムで様々な情報や状況を把握できる環境を整える必要があります。
在庫管理の方法があいまい
在庫管理の方法に関して明確なルールがなく、スタッフ間で曖昧な運用を行なっていると、在庫ロスや欠品状態になってしまいます。
運用方法を明確に定め、スタッフ間でルールの徹底し、リアルタイムでの情報共有を行うことで、余分な在庫を抱えてしまったり、欠品状態になることを防ぐことができるでしょう。
人員・スペース不足
人員・スペースの不足も物流管理における重要な課題の一つです。物流の量は年々増加傾向にあるにもかかわらず、人員や倉庫の保管スペースが不足しています。
物流ロボットなどの導入により、業務を効率化し省人化を図るとともに、高所への保管などを行うことによって保管スペースを確保するなどといった対策が必要になります。
ドライバー不足
物流業界が抱える課題として、深刻なドライバー不足が挙げられます。物流業界は従業員の高齢化や若手人材の不足などにより慢性的な人手不足に陥っており、配達の需要に見合った人手を確保できていない状況です。
また、低賃金・長時間労働などの労働条件の悪さも採用が進まない原因として挙げられます。2024年4月からはドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限される関連法の改正によって、ドライバーの収入減少の可能性が考えられるため、よりドライバー不足が加速することが懸念されています。
効率的な物流管理を行うためには
様々な課題を抱える物流管理を効率的に行うには、以下の2つの方法があります。
- システムを導入する
- アウトソーシングする
- 派遣会社などを活用し人材を採用する
システムを導入する
自社で物流を管理する場合は、倉庫や輸送自動車の所有から人員の雇用、入荷から出荷までの管理などの業務が必要になります。
これらの業務を全て人の手で行うには業務が煩雑すぎるため、業務を効率化し、正確に遂行するために適所に物流管理システムを導入することで正確・スピーディーに対応することができるようになります。
物流管理システムとして代表的なものには、倉庫管理システムや輸配送管理システムが挙げられます。
倉庫管理システムは、倉庫内の在庫管理や、検品、出荷管理など、倉庫内で発生する物流業務の情報を管理することができるシステムです。
具体的には、以下のような情報を管理できます。
- 入荷・出荷管理
- 在庫管理
- 棚卸管理
- 作業管理
- 運用管理
ハンディのような読み取り機器を使用し、商品についているバーコードを読み取ることで在庫の位置を確認できるため、棚卸し業務の効率化や、倉庫内の在庫情報の一元管理が可能になります。また、帳票やラベルの発行などの作業も行えるため、工数や人件費の削減につながります。
輸配送管理システムは、配車管理、進捗管理、実績管理など、商品を発送してからの輸送段階の情報を一元管理できるシステムです。
輸配送管理システムを利用することで、発送した商品の現在地や到着予定時刻を把握することができます。また、積付計画系の機能がついているため、トラックに効率的に無駄なく荷物を積み込むことも可能になります。
システムを導入するメリットとデメリットには以下があります。
- メリット
- 正確な情報を簡単にタイムリーに取得、共有することができる
- デメリット
- 導入にコストや手間がかかる
- 自社に合うシステム選びが重要
アウトソーシングする
外部の専門業者へ物流管理業務の全工程、あるいは一部をアウトソーシングする方法もあります。自社で物流業務を行う場合は、倉庫の所有や人員にかかる費用など様々な設備投資費用、ランニングコストがかかります。
物流業務をアウトソーシングすることで、ランニングコストの削減と品質の向上につながります。
自社で運用する場合にかかっていた毎月の固定費を外注することで変動費化することができるため、閑散期や繁忙期がある場合のコスト削減が可能です。
また、自社物流の場合、リソースにも限りがあるため、繁忙期はピッキングミスや出荷ミスが起こる可能性も高まりますが、物流のプロに外注することで品質の高いサービスを顧客に提供することにもつながります。
アウトソーシングするメリットとデメリットには以下があります。
- メリット
- 自社の人材の工数を削減できる
- ランニングコストを削減できる
- デメリット
- 費用がかかる
- 自社独自の物流戦略などを持ち込みにくい
- 品質にばらつきがある。
- 責任の所在が不明確になる
派遣会社などを活用し人材を採用する
物流業界は従業員の高齢化や若手人材の不足などにより慢性的な人手不足に悩まされており、この傾向は今後も深刻化していくと考えられています。しかし、人手が不足している中で新たな人材を採用するのは難しく、採用活動に時間を割くためには現在の業務を効率化し業務に余裕を持たせることが必要になります。
自社での採用の他にも、人材派遣会社などを活用して人材を採用することで、求める人材にマッチする人材を選定し紹介してもらうことができるため、自社で人材を探す必要がなく、採用コストが省けます。
人材派遣会社を利用した人材採用のメリットとデメリットには以下があります。
- メリット
- 経験者を採用できる
- 採用の工数を省ける
- 繁忙期に合わせて採用、閑散期は採用しないなど柔軟な採用活動が可能
- デメリット
- 派遣料などのコストがかかる
- 自社で人材の選定はできない
物流管理システムの種類
物流管理システムとして以下の2つを紹介します。
- WMS(倉庫管理システム)
- TMS(輸配送管理システム)
倉庫管理システム(WMS)の機能
倉庫管理システムとは、入荷管理、在庫管理、棚卸、出荷管理などの倉庫内で発生する業務の情報を一元管理するシステムのことです。
ハンディのような読み取り機器を使用し、商品についているバーコードを読み取ることで在庫の位置を確認できるため、棚卸し業務の効率化や、倉庫内の在庫情報の一元管理が可能になります。また、帳票やラベルの発行などの作業も行えるため、工数や人件費の削減につながります。
倉庫管理システムは、以下のような課題を抱える企業におすすめです。
- 倉庫内の在庫を正確に把握できておらず、欠品が発生することがある
- 倉庫内の在庫の場所を把握できていない
- 実際の在庫数とデータ上の在庫数に相違がある
輸配送管理システム(TMS)の機能
輸配送管理システムとは、配車管理、進捗管理、実績管理など、商品を発送してからの輸送段階の情報を一元管理できるシステムです。
輸配送管理システムを利用することで、発送した商品の現在地や到着予定時刻を把握することができます。また、積付計画系の機能がついているため、トラックに効率的に無駄なく荷物を積み込むことができます。
輸配送管理システムは、以下のような課題を抱える企業におすすめです。
- 車両費・人件費・燃費などのコストがかかりすぎている
- トラックの積載効率が悪いと感じる
- 日報作成や荷待ちをなくして業務効率を上げたい
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物流管理は、正確でスピーディーな配送を行うために非常に重要な業務です。
年々需要が増している物流では、業務も煩雑化しており、業務内容も多岐にわたるため、それぞれの業務において情報やステータスを適切に管理、共有することが重要です。
物流管理を行うことで物流業務の効率化を図れるだけではなく、物流の品質を向上させ、コストを最適化することができます。
人材不足やスペース不足など物流業界が抱える課題に対応しつつ、サービスの品質を保つためにも物流管理を行うことは必須となっていくでしょう。
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