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研究開発は企業や大学にとって、今後のサービス開発や技術の発展のために欠かせない重要な取り組みです。

この記事では、国内の概要として、世界と比較した際の日本の研究開発費の現状や、企業と大学の研究開発費の割合、産業別の研究開発費の割合などを紹介します。

また、日本企業の研究開発費ランキングや、研究開発費の調達方法についても紹介します。

研究開発費の現状把握や今後の調達を考えている場合には参考にしてみてください。

日本の研究開発費の概要

まずは日本の研究開発費の現状として、世界の主要国との比較や国内での研究主体の内訳、産業部門別の研究費の推移などを確認します。

主要国の研究開発費総額の推移

経済産業省の『我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向』では、主要国とデータとして、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、中国、韓国の7カ国間の推移を調査しています。

調査の結果、中国の研究費総額は2000年頃から⼤幅な増加が続いていますが、第1位である⽶国との差額は2013年以降1,300億ドル前後で推移しています。7カ国間では米国、中国の2カ国の研究費総額が突出して多くなっています。

⽇本は、2019年時点の研究費総額が前年とほぼ同額の第3位となっており、ドイツ及び韓国との差額が2013年以降徐々に減少してきています。

研究費総額(2019年)
米国6,575億ドル
中国6,257億ドル
日本1,733億ドル
ドイツ1,481億ドル
韓国1,025億ドル
フランス733億ドル
英国569億ドル

⽇本の研究主体別研究費の推移

研究主体として、企業、大学、公的機関、非営利団体の4つに分類すると、⽇本の研究主体別の研究には、企業が全体の約7割を占めていることがわかります。

他は⼤学が約2割を占めており、企業と大学のこの⽐率はほぼ⼀定になっています。

2019年度の研究主体別研究費は、企業14.2兆円、⼤学3.7兆円、公的機関1.4兆円、⾮営利団体が0.2兆円となっています。

日本の産学官の資⾦の流れ

研究主体別の研究費総額を見てきましたが、これらの研究主体間でどのように研究開発費が流れているのかを確認します。

⽇本における産学官の資⾦の流れをみると、企業等の研究開発費は98.5%を⾃⼰負担していることがわかります。

一方、⼤学等の研究開発費は、51.3%を政府が負担、3.4%を企業等が負担している状況となっています。

公的研究機関の研究開発費は、96.5%を政府が負担、2.5%を企業等が負担しており、外国負担はいずれの組織でも1%未満と、海外からの支援は国際的にみて⾮常に低い⽔準となっています。

⽇本の産業部⾨の研究費の推移

産業部⾨の研究費の総額は2019年度時点で1,421百億円となっています。

業種別にみると製造業の研究費が多く、医薬品製造業、業務用機械器具製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、輸送用機械器具製造業に分けて確認すると、輸送⽤機械器具製造業の研究費が大きく伸びていることがわかります。

そのため、輸送用機械器具製造業の研究費の伸びが総額に⼤きく寄与しているといえます。

⽇本の産業部⾨の企業規模別研究費の推移

⽇本の産業部⾨の研究費を企業規模別にみると、資本⾦100億円以上の企業が大半(70%程度)を占めており、この傾向は2007年以降大きく変化していません。

資金が潤沢な大企業ほど研究開発金額が高くなる傾向があることがわかります。

⽇本の主要企業の研究開発費ランキング

日本の主要企業の研究開発費のランキングについて紹介します。

2022年度の日本企業の研究開発費ランキング上位20社を表にまとめると以下のようになります。売上高と研究開発費、売上高に占める研究開発費の割合を確認することができます。

順位企業名売上高(百万円)研究開発費(百万円)研究開発費の割合(%)
1トヨタ自動車株式会社37,154,2981,241,6863.3
2本田技研工業株式会社16,907,725880,9155.2
3ソニーグループ株式会社11,539,837735,7006.4
4武田薬品工業株式会社4,027,478633,32515.7
5日産自動車株式会社10,596,695522,2214.9
6株式会社デンソー6,401,320521,6158.1
7パナソニックホールディングス株式会社8,378,942469,8005.6
8第一三共株式会社1,278,478341,60026.7
9ソフトバンクグループ株式会社6,570,439319,4844.9
10株式会社日立製作所10,881,150316,2002.9
11キヤノン株式会社4,031,414306,7307.6
12アステラス製薬株式会社1,518,619276,12818.2
13大塚ホールディングス株式会社1,737,998275,23015.8
14日本電信電話株式会社13,136,194252,8201.9
15株式会社アイシン4,402,823218,6005.0
16三菱電機株式会社5,003,694212,3004.2
17ルネサスエレクトロニクス株式会社1,500,853206,70013.8
18スズキ株式会社4,641,644205,6424.4
19住友化学株式会社2,895,283195,6006.8
20東京エレクトロン株式会社2,209,025191,1968.7

参考:企業の研究開発費ランキングTOP100(2023年6月更新)|研究ネット

企業や大学が研究開発費を獲得するには

研究開発費を調達するための方法として以下の5つを紹介します。

  • 助成金を活用する
  • クラウドファンディングを活用する
  • ビジネスマッチングを活用する
  • 大学と企業で共同研究を行う
  • スタートアップイベントに参加する

助成金を活用する

研究開発費を調達する方法の一つとして、助成金の活用が挙げられます。政府や民間団体が提供している助成金を活用し、研究開発費を調達することができます。

給付を受けるためには、それぞれ用意されている助成金の給付条件を満たしているか、使途が合致しているかなどの審査が必要になります。

募集期間が短いものもあるため、こまめに国や自治体が発信する情報をチェックしましょう。

実際に提供されている助成金をいくつか紹介します。

科学研究費助成事業-科研費-(文部科学省)

– 人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」を発展させることを目的とする「競争的研究資金」。ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行う。

引用元:科学研究費助成事業-科研費:文部科学省

成長型中小企業等研究開発支援事業(中小企業省)

-中小企業者等が、ものづくり基盤技術及びサービスの高度化に向けて、大学・公設試等と連携して行う研究開発等が支援対象となる助成金。

引用元:中小企業省「令和6年度予算「成長型中小企業等研究開発支援事業」の公募期間を延長します」

社会技術研究開発事業(社会技術研究開発センター)

-SDGsの達成に向けた共創的研究開発や科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発を支援

参考元:社会技術研究開発センター「2023年度 社会技術研究開発事業 提案募集」

クラウドファンディングを活用する

クラウドファンディングを活用することで、研究内容に賛同する支援者からの寄付を募ることができます。

クラウドファンディングとは、インターネット上で支援者を募り資金調達することを指します

クラウドファンディングを通じて調達した研究開発費の返済の有無はクラウドファンディングの種類によって変わりますが、クラウドファンディングを行うことによって、資金の調達だけでなく、ある程度の宣伝効果やプロモーション効果を得ることもできます。

一方で、研究開発の内容に賛同する支援者が集まらなければ、研究開発費を十分に調達することができないため、いかに共感してもらえる内容の研究であるかが重要になります。

ビジネスマッチングを活用する

ビジネスマッチングサービスを活用し、研究開発を行いたい企業・大学と研究開発に投資したい企業・大学がマッチングすることが可能になります。

ビジネスマッチングサービスとは、企業の売りたい・買いたいをマッチングさせるサービスのことです。

研究開発においても、事業拡大や新規商品の開発などにおいて研究力を必要としている企業と、新たな研究を進めるために資金が欲しい大学などがマッチングして共同で研究を進めることが可能になったり、互いに必要としているリソースが足りない企業同士が業務提携を結ぶことによってリソースや資金を出し合うことが可能になります。

大学と企業で共同研究を行う

大学が研究開発費を調達する方法として、企業と共同研究を行う方法があります。大学などの研究機関や研究者を抱える機関が企業と協力して共同の研究プロジェクトを行うことで、大学は企業側から研究開発費を出してもらうことができます。

共同で研究した内容がサービスや商品として実際に市場に出ることがあれば、研究開発費の調達だけでなく、実際の研究がどのように社会で生かされていくのかビジネスの視点から確認する機会の獲得にもつながります。

スタートアップイベントに参加する

スタートアップが資金調達したい場合は、スタートアップイベントに参加する方法が挙げられます。

スタートアップイベントとは、スタートアップが集まるイベントのことです。

自社が事業化したい内容についてプレゼンし、共感してくれた参加者から出資してもらうチャンスを得ることができます。

ビジネスパートナーを探している大企業などが評価者として参加している場合もあるため、出資企業を探しているスタートアップは、参加することで事業を実現する上で大きな手助けとなるパートナーを獲得できる可能性があります。

まとめ:研究開発費について相談するならレスターマッチングサービスがおすすめ

日本の研究開発費は主要国と比較すると第3位となっているものの、1位、2位との金額の差が大きく、そのほかの国の研究開発費も追い上げてきている状況です。

研究主体別にみると、企業は研究開発費の大半を自社で賄っており、そのほかの機関は政府が負担している部分が大きくなっています。

産学官での連携をより強めることにより、現状大手企業のみが潤沢に確保できている研究開発費をそのほかの機関も確保できるようになり、より日本の研究力が高まることが期待されます。

研究開発費を確保したいけれど、どのように進めれば良いかわからないという場合には、『レスターマッチングサービス』がおすすめです。

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