近年、SDGsへの注目度が高まっています。
SDGsに設定されている目標には企業活動に関連する内容も多く、企業全体としてSDGsに取り組むことが求められています。
しかし、実際にSDGsに取り組むにあたって、何をしたらいいのかわからない、そもそも会社にとってメリットがあるのか、などと考えることがあるのではないでしょうか。
今回は中小企業がSDGsに取り組む際の現状や課題、進め方のポイントについて紹介します。
この記事を読むことで、中小企業がSDGsに取り組む目的や効果について具体的にイメージすることができるようになります。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年に国連で採択された「持続可能でより良い世界を目指す」ための国際目標のことです。17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを目標とし、2030年までの世界的な達成が求められています。
国は地方自治体などの公的機関のみならず、民間企業や国民など全ての人が取り組むべき目標として各国が取り組みを加速させています。
中小企業のSDGsへの取り組みの現状
SDGsは国や地方自治体だけではなく、企業での取り組みも重要視されていますが、日本における企業の取り組み状況はどうなっているのでしょうか。
株式会社帝国データバンクが行なった2021年6月に行なった調査によると、調査対象の企業全体において「SDGsへの取り組みを開始している」あるいは「SDGsの重要性を理解し取り組みたいと思っている」企業は、39.7%で、2020年6月の調査結果の比較すると15.3ポイント増加しているという結果でした。
企業の規模別に回答を見てみると、大企業ではSDGsに積極的な企業が55.1%で半数を上回っているのに対し、中小企業でSDGsに積極的な企業は36.6%と大企業を下回る結果となりました。
参考:帝国データバンク「特別企画:SDGsに関する意識調査(2021年)」
中小企業のSDGsへの取り組みの課題
中小企業のSDGsに対する取り組み状況が大企業と比較すると低い現状ですが、中小企業がSDGsに取り組んでいない理由は何なのでしょうか。
エヌエヌ生命保険株式会社が中小企業を対象に2021年に行なった調査によると、SDGsに関する施策に取り組んでいない理由として、以下のような内容が挙げられました。
- 何をしていいかわからないから(46.7%)
- 取り組むメリットがわからないから(32.1%)
- 人員に余裕がないから(22.9%)
SDGsという言葉や概念を理解していても、実際に取り組むとなると何をしていいのかわからなかったり、取り組むことによって自社に得られるメリットが何なのかがわからないからといった理由が半数以上を占めていることがわかります。
一方で、「中小企業がよりSDGsに取り組みやすい状況になるためには何が必要」かという質問に対しては以下のような回答が得られました。
- 補助金や税免除など、公的機関からの経済支援(38.1%)
- 公的機関からの案内・報道など、中小企業の取り組み事例紹介の増加(19.5%)
- 該当する取り組みへの融資など、金融機関からの経済支援(16.6%)
補助金や税免除などの公的機関の支援や、融資などの金融機関からの支援など、経済的な支援を求める意見が多いことがわかります。
また、取り組み方法がわからないという課題からも見られるように、実際の取り組み事例が知りたいという回答も得られています。
中小企業のSDGsへの取り組みを広げていくためには、経済的な支援と参考になる事例創出が重要になります。
参考:エヌエヌ生命保険株式会社 「中小企業経営者に関する調査結果」
中小企業がSDGsに取り組むメリット
大企業と比べるとSDGsに取り組んでいる企業の割合が少ない中小企業ですが、SDGsに取り組むことで得られるメリットは様々です。
ここでは、中小企業がSDGsに取り組むメリットについて紹介します。
- 株主や投資家からのESG投資
- 新領域でのビジネスチャンスの獲得
- コスト削減
- 従業員のロイヤリティの向上
株主や投資家からのESG投資
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の英語の頭文字を合わせたものです。
地球温暖化や水不足、人権問題などの社会課題など私たちが直面している問題から、環境に対する配慮や社会課題の解決、法令遵守した企業経営などが重要視されており、企業が長期的に成長していくためにもこれらのESGの観点を取り入れることが必要だとされています。
また、これに関連してESG投資が注目を集めています。国連が2006年に提唱した「責任投資原則」によってESGに配慮した企業に対して投資を行うことが重視されており、ESG投資額は年々増加しています。
このESG投資の観点はSDGsの目標と関連するものも多いため、SDGsに取り組むことでESG投資をしてもらいやすくなり、資金を調達しやすくなるというメリットがあります。
新領域でのビジネスチャンスの獲得
自社の既存事業にSDGsの観点を取り入れることで、新たな事業が生まれるなど新領域でのビジネスチャンスにつながる可能性があります。
また、SDGsの観点を取り入れた事業を成長させていくことができれば、SDGsに取り組んでいる企業ということで認知されるため、将来的に企業価値や事業価値を高めることにもつながります。
コスト削減
SDGsへの取り組みはコストの削減も期待できます。気候変動や生態多様性の保全、循環資源など、環境に関する多数の目標が設定されているため、特に製造業などの場合は、環境保護関連のSDGsの目標に取り組むことで、電気やガス、水道などのコストを削減することができます。
例えば、電気やガスなどの使用量を減らすために、太陽光発電や水力発電、風力発電など再生可能エネルギー比率の高い電力を使用することで、コスト削減だけではなく、環境への負荷を低減し持続可能なエネルギーを使用した生産の両立が可能になります。
従業員のロイヤリティの向上
SDGsの8番目に、「働きがいも経済成長も」という目標があります。
社員を大切にする経営を行うことで、社員の会社に対するロイヤリティの高まりが期待できるでしょう。
また、組織一体となってSDGsに取り組むことで一体感が生まれたり、社会に貢献しているという満足感が高まったりすることで、社員のモチベーション向上にもつながります。
中小企業がSDGsに取り組む際のポイント
中小企業におけるSDGsの取り組みが進まない理由として、「取り組み方がわからない」という理由が多く挙げられることがわかっています。
では、実際にはどのように進めていけばいいのでしょうか。
中小企業がSDGsに取り組む際に押さえておくべきポイントについて紹介します。
- 経営層が主体的に進める
- 社員のモチベーションを保つ
- 無理のない範囲の目標を設定する
経営層が主体的に進める
企業がSDGsに取り組むためには、経営層が積極的に関わり、トップダウン型で進めていくことが大切です。
社内の特定の部署に任せきりにしてしまうと、「会社全体としての取り組み」という認知が従業員に対して広まりにくく、なかなか自分ごと化して捉えてもらえません。
自分ごと化してもらえないと、目標としているSDGsの取り組みがうまく進まず達成できなかったり、従業員のロイヤリティ向上などのメリットが享受できなかったりと、失敗に終わってしまう可能性が高くなります。
経営層が積極的に関わり推進していくことで、会社全体の取り組みとして社内・社外にアピールすることができるため、社員からの協力も受けやすくなり進めやすさにつながるでしょう。
社員のモチベーションを保つ
企業として取り組みを進めていくからには、主体となる社員のSDGsに対するモチベーションを保つことが重要です。
特に中小企業の場合、大企業に比べて社員数が少ないため社員の負担も大きくなることが考えられます。これまでの業務に加えて、SDGsに関連する業務が増える場合、SDGsに会社として取り組む目的や効果を社員が認識・納得していないと業務量が増えることへの不満や目的の不明確さからモチベーションが下がる可能性があります。
経営層から社員に対してSDGsに取り組む目的や重要性、期待される効果やメリットを伝えた上で、納得して取り組んでもらうことが必要になります。
無理のない範囲の目標を設定する
無理のない範囲で目標を設定することも重要なポイントになります。最初から高すぎる目標を設定してしまうと、達成できなかった際にモチベーションが下がり、そこでやめてしまう可能性があります。
SDGsの17つの目標のうち、どの目標を達成するのかを決めたら、その目標を達成するために必要な項目を洗い出して段階的にマイルストンを設定してみるなど、本業の事業に支障が出ない範囲で、適切な目標から取り組んでみることが大切です。
まとめ:中小企業がSDGsに取り組むならレスターマッチングサービスがおすすめ
SDGsは近年注目されている取り組みの一つですが、国や地方自治体だけではなく、企業も達成することが求められる目標です。日本では、中小企業は大企業と比べると経営上の課題や目的の不透明さから取り組みが遅れていますが、得られるメリットが多くあることも事実です。
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